「………良い性格してるよ。お前。」

「褒め言葉として受け取ろうかな ♪」



ほんと、良い性格してる。



「………カマかけたのは俺にフラれて欲しいから?」

「蹴り付けないまま、ズルズル引きずってほしくなかったから。」

「……俺のこと応援してたのは…なんで…?」

「『幸せでいて欲しい』なんて心から思ってたんだよ…。諦める言い訳…。」

「……………なんだよ…それ…」

「……同類でしょ…?」

「……………うん」


歯切れの悪い会話。さっきから変に頭が回らないし、暑い気候のせいか汗だくだ。


「……好きだから…付き合って…。」

「…………しばらくかかるよ。俺……割とひきずるタイプの人間だし…。」

「覚悟の上だよ。」

「…かっこいいな。お前。」


新しい恋に向き合う日は来るんだろうか。


そんな疑問を抱えながら、真剣な表情を浮かべる葵のことをただただ見つめていた。