『両想いみたいだね』の一言。この一言を伝えて長年の想いを叶えるんだ!




いざ!!










「まるで…《ピロン》」










へ…?









予想外の出来事。寝巻きのパンツのポケットで震えたスマホ。

なんてタイミングで鳴ってくれたんだ…。

マナーモードにしていなかった自分を恨む。

フッと前を見ると、大ちゃんはクスクスと笑っている。『タイミングすごい』と変なところに感動を覚えながら笑われると、肩の力が抜けて自然と自分も笑みが溢れた。


《ピロン…ピロン…》


「ごめん。マナーモードにするね。」


続けて鳴るスマホを取り出して、私はスイッチを押してマナーモードに切り替えた。ついでに通知が来ない『おやすみモード』に変える。


「返信しなくていいのか?」

「あ、うん。智樹からだし。さっき『映画観に行った』ってラインしたんだよね。それで明日、感想話そうって」


急を要する内容でもないし、なんなら返信しなくても良いくらいだし。

それよりも今は、大ちゃんと一緒にいる。
他よりも大ちゃんと会話するのが最優先だ。


「………美鈴と智樹って人。ものすごく仲良さそうだよな。」

「口喧嘩が大半だけど、なんだかんだね。」


どうやって智樹の会話からさっきの内容に戻せば良いのかばかり考える。


「美鈴のこと大切に想ってくれてるよな。この間も家まで送ってくれてたし。友達よりかは…彼氏っぽく見えたけど。」

「……そうだね。」


やっと近づけたと思ったのに、また離れていくような感覚。


思えば一度フラれてるもんね。私。


『彼氏っぽく見えた』と言う言葉が、なんだか胸にズシリと来た。



……ネガティヴな私が囁く。



私は何か努力しただろうか。



強いて言えば見た目だけ。

頑張って用意したデート服に関して、何も触れてもらえなかった。勉強したメイクも、ヘアアレンジも。

でも触れてもらえなければ、それは無意味だったと言っても過言ではない。


デートは大ちゃんに甘やかされ続けたようなもので、私だからできたことって少ない。


なんなら、もっと女性的で可愛くてスタイルも良くて綺麗で思いやりのある人の方が…大ちゃんは…。


「………」