「なぁに? このウネウネしたやつ!見た目ちょっと気持ち悪い〜」

「美鈴、モンブラン知らないのか?」


幼い頃、大ちゃんのお母さんが買って来てくれたケーキを一緒に食べている時の会話だ。


「大輝、モンブラン好きよね〜」

「うん。一番好き。」


大ちゃんが一番好きなケーキはモンブラン。昔も今も変わらずにそう。


「美鈴、一口食べてみる?」

「うん!」


貰った一口。そのたったの一口で私はモンブランに魅了されてしまった。


「おいしい!」


私がモンブランを欲すれば、何故か大ちゃんが嬉しそうで。


「今度からはモンブランふたつ買ってくるわね。」


大ちゃんのお母さんはその日以来、私と大ちゃんの分のモンブランを必ず買うようになった。