私はズルい。そう自覚している。
最近買った新しい部屋着を身に纏い、大ちゃんが寛(くつろ)ぐソファの隣にちょこんと座った。
「帰らないのか?」
「うん。大ちゃんをゲームに誘おうと思って」
「いいよ。何のゲームする?」
大ちゃんの両親は仕事から帰ってきて、寝支度を済ませた後すぐに就寝した。お母さんには『大ちゃんと遊んでくる』と伝えてある。春太は明日早いから、もう寝ている。
間違いなく、今夜、2人きり。
ゲームをする時、大抵が大ちゃんの部屋だ。
「…俺の部屋行くか? あ、えっと……んー…やっぱリビングでやろう。」
「? なんで? 大ちゃんの部屋でいいよ?」
私は大ちゃんの部屋が好きだ。雰囲気もそうだけど、大ちゃんの匂いがして安心する。
半ば大ちゃんの部屋に行くことを狙っていたのに。
「………んー…」
微妙な反応ばかり。
部屋が散らかってるとか?
そんなの気にしないんだけどなぁ。
「大ちゃん、部屋にやましいものでも隠してる?」
「はっ?」
「私に見せられないもの隠してるんだ〜」
もう一度言う。
私はズルい。それはかなりのもの。
「そんなの隠してないよ。」
「怪しいなぁ〜」
「……そんだけ言うならいいよ。俺の部屋でやろ」
よっしゃ…!
心の中でガッツポーズをして、立ち上がり歩き出した大ちゃんの後をついて行った。