「大人になって膝擦りむくなんてな…フフ」

私は口にぎゅっと力が入る。

「…だっ、て…」

「好きでもない女に、こんな事すると思うか?」

「ぇ……」

(それは……私の事…)

「これでよし!」

ぽーっとしている間に手当ては終わっていた。

「ぁ…ありが、とぅ……」

ドキドキしている私の事など気にもせず、
裕也は救急箱を片付けに離れていってしまう。

その時ふと写真が目に入った私は気になり近くに寄ってみると、そこには見覚えのある人が写っていた。

「これ、とも…こ…せん、せぃ」

「そうだよ」

施設長と、その隣に無愛想な男の子の写真。

すると私のそばに来て写真を手に取り眺めながら教えてくれた。

「俺も七海と同じ施設で育ったから」

「え!……そ、そぅな、の?」

「似てるって、言っただろ」

裕也は写真を置いて私を抱きしめた。