目を覚ませば見たこともない部屋だった。

統一された家具が綺麗に並べられ埃ひとつない
置かれている家具からは高級感が漂っている

ろくな生活をしてない私にだって分かるくらいにこの家は高級感があった


悪魔の家では奴隷のように扱われていたのでプライベートがなかった。

自室には勝手に入ってきて機嫌が悪くなると私を部屋に閉じ込める。

そんな横暴で残酷な悪魔の元で調教された私にはこんな場所は似合わない。


[...ここは?]

「大丈夫、お前が恐れてる悪魔は絶対に来れない場所だよ」

逃げた時に出会った青年がそう呟いた。

この人はきっと知らないんだ。あの悪魔の恐ろしさを。

執念深いあの悪魔から逃げることなんてできないと分かっているのに何故かこの人の顔を見ると気持ちが和らいでいた。

[あのっ..助けていただいてありがとうございます...でもやっぱり私ここ出ます..]

「なんで?」

[あなたにまで迷惑かけれません。あの人の犠牲になるのは、不幸になるのは私一人で十分なんです。だから...]

だから、もう関わらないでください。

そう言おうと思ったのに続きを言うことを許されなかった。

気づいた時には影が重なり合って時が止まっているかのような空間だった

「やだね」

そういって口元を緩ませた青年はソファに深く座り込んだ。

「俺さ、そんなにか弱そうに見える?」

面白そうに口元に笑みを浮かべて、こちらを覗き込んでくる青年はなぜか私の全てを見過ごされているようだった