大丈夫?と尋ねると「す、すみません!」と慌ててトレーに乗っていたブルーベリーパイと苺のパフェを誠人の前に置くと頬を赤らめたまま戻ってしまった。



こんなにも速く女を落とすのね、恐ろしい子。



1時間後、パイもパフェも食べ終えて会話も一息ついた私達は店を出ることにした。



自分で払うはずのお金は全て誠人が払ってくれた。



それから誠人とは色んな話をした。学校のことや友達のこととか。



話が弾むことはあっても、お互い闇の部分には触れることはなかった。



話してしまえば少しは楽なのかもしれない。



けど私たちはそれをしなかった。



『ありがとう、ここでいいよ』

「じゃあ、また」

『またね、バイバイ。気をつけて帰るんだよ』

「俺ガキじゃないです」



帰りはしっかり誠人に送ってもらい、誠人は私がちゃんと中へと入っていくのを確認すると立ち去った。



私はその逞しい背中がどんどん小さくなっていくのを眺めていた。