少し歩いた所に小さな可愛い喫茶店があり、そこに入ろうと言って開けるとカランカランと可愛らしく鳴るドア。
奥からいらっしゃいませ、と女の人の声がした。
女性は奥から出てくると目をパチクリさせ、射抜くような目でこちらを…いや私の隣を見た。
あぁ、誠人がカッコいいからか…とすぐに理解した。
「こちらの席にどうぞ」
案内された奥のテーブルに腰を下ろすと目の前に置かれた水に口を付ける。
店内をチラッと見てみれば数組いた客全員が私たちを見ている。
客全員が1箇所に視線を向けるなんてそれこそ異様な光景。
うぅ…居ずらい。
それを誤魔化すようにメニューに目を向けて何を頼もうかと必死に考える。
後にも先にもこんなにも、必死にメニューを見て何を頼もうかと考えるのは今日だけなんだろうなと感じた。