『呼び捨て禁止』
胸が一瞬高鳴った。
誠人がいきなり呼び捨てするから…いきなり頬に手を添えてきて微笑んだりなんてするから。
私は胸が高鳴ったことがバレないようにと彼の名を呼び、そう言って微笑み返した。
そのとき、私に触れてる誠人の手がピクッとしたのは気のせいじゃない。
『誠人くん』
私をジッと見つめる双眼。
その瞳に写り込む自分の姿が見える。
「さっきみたいに誠人って呼ばないんです?」
『そう呼んでほしいの?』
「あぁ」
不適に笑う彼を綺麗だと思った。
『誠人。お茶でもしよっか?』
「あぁ」
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