今日も放課後になるまで遅いとは感じず、むしろ速く感じたほどだ。
SHLが終わると廊下がザワついていた。
何事かと思い私も鞄を片手に廊下へ出ると、ザワつく中心に彼は居た。
「先輩」と柔らかい声でそう言い、微笑みかけるともたれていた壁から背中を離して私に近づいた。
その言葉、動作さえも周りを魅了してしまう目の前の男。
一体どういうつもりなんだろうか?
ねぇ、何を考えているの?
『わざわざ迎えになんて来なくていいのに』
昇降口で待ってればいいのに。
ありがとうも言えない私は心が曲がってると思う。
ザワつきが収まらない廊下…このツーショットがいかに珍しく異様なものなのかを知る。
「なんで北条くんが?」
「まさか次の彼女って相楽?嘘でしょ?」
「マジでありえねぇ」
こらこらお前たちの心の声分かりやすすぎだ。
手に取るように分かるから本当ウザったい。
私が告白したわけでもないのに。
でもその事実を知らない人たちは、私が告白して次の彼女になったんだと思っているんだろう。