もしかして正一さん持ち…?

いくら社長だからってそれは____ありえそう…。



お母さんから聞いた正一さんの話で分かったこと、それは正一さんは紳士だってこと。


だからそういうこと。


多分じゃない、絶対私たちが1銭も出すことを許してくれないと思う。



そんなこと考えてたらあっという間にホテルに着いてしまった。

真の前にはデデンと大きくて高級な高そうなホテル。


うっわぁ…入る前から萎縮しちゃうんですけど。


手のひらベットベトになってきて嫌なんだけど。



クラッチバッグの中にあるハンカチで手汗を拭いて、ホテルに入るとお母さんは迷わずエレベーターのボタンを押した。


すでに待機していたようで、すぐに開いたソレ。

エレベーターに乗り込むと20階のボタンを押して扉は締まると上へと動き出した。



エレベーターって嫌いなんだよね…この浮遊感がなんとも言えないから。



必ずと言っていいほど気分が悪くなる。
というかいつも吐く寸前。




『気持ち悪…』

「大丈夫?てかいつもでしょーが」

『そういうお母さんは何で気持ち悪くないの…』

「さぁ?あんたが酔いやすいだけでしょ」



確かに私は酔いやすいけど…手か本当気持ち悪いっ…。

このままだとご飯食べれないんですけど。


ようやく着いた20階、ポーンと音が箱の中に響く。



扉が開ききる前に降りた私にお母さんは注意したけどそんなの今は関係なくて、1秒も長くエレベーターの中に居たくない。




『ふぅ…うっ、吐きそう』




深呼吸をして吐きそうになった胃を何とかしてお母さんの後ろを着いていく。




『待ってよ…』




私の声に覇気はない。
自分でも分かるほど弱弱しい。


歩くの速いんだって…こっちは気分悪いって言うのに。


何をそんなに急いでるんだって思う。



「正一さんもう来てるのよ」

『あと15分はあるのに?』

「それでもいるの」

『早いって…』

「彼はいつも私を待たせてくれないのよ。この前なんて30分も早く待ち合わせ場所に行ったのにいたのよ?」



それある意味凄い。


お母さんをそんなに待つ価値ってあるの?てのはまぁ、それは軽いジョークで、本当はそれほど手放したくないってことなんだと思う。

お母さん愛されてるなぁ。



「何名様で?」

「待ち合わせです」