リビングにはとても美味しそうな匂いが漂っている。
「美味そう」
『美味しいから』
誠人のコメントに突っ込んで皿を棚から出す。
誠人がソースを作っている間、私は皿に綺麗に美味しそうに盛り付けていきソースをかけて完成した。
我ながら美味しそうだと思う。
ハンバーグののった皿をテーブルに運んで向かいに誠人が座る。
「『いただきます』」
食べる前の挨拶をすまし、先に彼がハンバーグに手をつけて一口サイズに切ったそれを口の中に入れた。
「うまッ」
『でしょ。さすが私』
「それおかしくね?」
『何が?』
「普通俺が褒めるだろ。自分で褒めるのかよ」
『だって自信しかなかったからね』
「はぁ…凄いんだか凄くないんだか」
それは…すごいに決まってるんじゃない?
それに自分を褒めることは悪くないじゃん。
そう、ポジティブに…とか思うけどそう全てをポジティブに生きるというのは難しい。
無駄なことを考えるのはやめて私もハンバーグを口に運び入れるとやっぱり美味しくてパクパクと食べ進めた。
お箸が進む、お米も勢いよく減っていく。
やっぱり誰かと食べるって美味しい。
その時、ガチャとドアが開く音が聞こえて手が止まった。
お母さんが帰ってきたことが分かり少しばかりドキドキしている。
リビングの扉が______開かれる。
「あら、沙夜の彼氏じゃない」
あぁ、面倒なのが帰ってきたよ。
お母さんはパタパタとテーブルに近づくと誠人の顔をじっくりと見ている。
誠人少し引きつってるし。
「やっぱカッコいいわね~。沙夜にはもったいない!」