「次は抱けたら1万な?」


嫌な予感は見事的中。

そんなあり得ない会話がすぐそばで繰り広げられていた。

私は賭けの対象にされていたんだと絶望した。



〝好きだ〟



あの言葉も全部、全部偽りの想いだったんだ。


その事実を知った私は次の日名倉に勇気を振り絞って「別れよう」と告げた。



もちろん名倉は納得なんてしていなかった。
けど冷めたからと言って私は去った。



名倉はそれでも話しかけてくるけど、存在しないかのように無視をした。



そんな名倉が諦めたころ、


「好きなんだ、付き合ってくんない?」


あの日名倉と話していた男子が告白してきた。



私はもちろん彼が私のこと好きじゃないと分かっててOKを出した。



賭けの対象にされていることも知ってる、けどそれはワザと。



私に惚れさせて振るため。



この頃から私は条件付きの付き合いを始めた。

好きにさせて振ったら関わらない、それを繰り返していた。



高校は中学の子が行かないような偏差値の高い高校を選んだ。


そこにユカも付いてきてくれて、とっても嬉しかった。



___そんな私の卒業式、名倉が再び告白してきた。


当たり前のようにそれを断ると無理矢理唇を奪われてしまい、とっさに殴って立ち去った。


あれが人生で1番最悪のキスだと思う。


高校に入学した私は、少なからず友達ができることを期待した。



だけど期待なんかしてしまった私が馬鹿で、噂は思った以上に大きくて同じ中学じゃなかった人もそれを知っていた。




『それで高校も同じよな付き合いをしていた』

「そうか」

『襲われそうになった時もあった』

「は?お前…」

『バカ!した事ないよ!大事なとこ蹴ったりして逃げたから!』

「いや、したかどうかは訊いてねぇよ」




あ…自爆した、穴があったら入りたい。

私は恥ずかしさのあまり頭を抱えて包まった。