「わ、わかりました。お供します」

 私の会社はブラック企業だ。

 これは仕事、と割り切ることにした。

「そうか、じゃあ今度の日曜にでも……」
「いえ、今日でいいですよ。平日のほうが映画館も空いてますし」

 休みの日にまで三浦部長の顔なんか見たくない。

「わ、わかった。なら終業後にということで」
「はい」

 私は話の終わりをきっかけに「では、失礼します」と一声かけてから背を向けた。変じは待たなかった。

 あーあ、朝イチで嫌な目に遭っちゃったなぁ。

 無言でつぶやいて盛大にため息をついた。