映画を見終わって近くの喫茶店に寄った。

 通りに面した窓側の席に私と三浦部長は向かい合って座る。

 映画を観てから彼は口数が減っていた。何かを自問するかのようにたまに小声でつぶやいていたけれど私にはよく聞き取れなかった。

 注文したコーヒーが運ばれ私が一口飲むと三浦部長がおもむろに言った。

「僕ももう三十五歳だ」
「はぁ」
「いつまでも独身というのもあれだしね、そろそろ身を固めてもいいかなぁって思うんだよ」
「……」

 どうしよう。

 全く話が見えない。