お兄ちゃんが抱え込んでいたことが露わになった後、わたしはある人と知り合うようになる。


「雛乃ちゃん」

「真白さん! お仕事お疲れ様です!」

「ありがとう〜! 雛乃ちゃんの笑顔は癒されるわね……!」


真白さんはお兄ちゃんの本当のお母さん。


お兄ちゃんがトラオムを作ったよりも前に彼女と知り合ったらしい。

真白さんはお兄ちゃんに似てとても綺麗で、優しい人だった。


そんな真白さんは今、わたし達と一緒に暮らすようになった。

それはお兄ちゃんの要望だった。


お兄ちゃんから全てを告げられた後『わがままを言いたいんだけど』と前置きして言ったのだ。


『ふたりのお母さんと一緒に暮らしたい』って。


真白さんは息子と暮らせるとは思ってもみなかったようで泣き崩れてしまった。

たくさん泣いちゃったけど、あの時はとても温かい空間だったな、と思い返してみる。


なので、わたしは真白さんと仲良くなろうと奮闘中だ。

でも不安はないから、家族になれるまでは時間の問題だと思う。