実際そんなことになっても、トモくんはカッコいいから何やっても様になるし、誠実だから許してしまいそうだ。
「あの……わがままいいですか?」
「な、なんでしょう?」
気まずさに思わず敬語になる。
「文化祭の日、俺と一緒に回りませんか?」
「うん、それなら全然いいよ」
柚子は図書委員の古本屋でずっと忙しいだろうから、誰かと回ろうか悩んでいたところだった。
トモくんは「断られるかと思ってたのでよかったです」と胸を撫で下ろす。
わたしもまだトモくんのことそんなに知らないし、ちょうどいい機会だ。
不確定要素のある世界での恋よりも、こっちの方がよっぽど堅実でいいのではないか。
「それじゃ帰りましょう。送りますよ」
「あ、ありがとう……」
わたしはトモくんのことも真剣に考えようと誓ったのであった。
その日の夜。
トラオムでとある事件が起きる。
꙳✧
˖°
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