思わず見惚れたわたしは彼に不審に思われないように頭を下げた。
男性は「頭を下げなくていい」とぶっきらぼうに言い放つ。
わたしは彼のお言葉に甘えて、顔を上げた。
すると彼はとんでもないことを言った。
「それにしても珍しいこともあるんだな。魔法を使わずに戦おうとする人は初めてだ」
「……マホウ?」
「ああ、魔法だ。お前、知らないのか?」
聞き間違いではなかった。
魔法って、魔法だよね。
さっき、必殺技みたいな感じで何かを唱えてた、あの……。
知らない言葉ではないが、現実には……地球にないもの。
「知ってはいますけど……」
今更だけど、わたしはとある疑問を抱く。
「ここ、どこですか?」
「……森?」
「それはそうなんですけど……地域というか、国というか」