「爽から聞いた。昨日の生田化成でのこと」

身構えていた身体がさらにギシリと固くなる。

『若い女』である私が担当では不満だと言われてしまったこと。
それを『社長の息子』である爽くんに庇われてしまったこと。

きっと全部知られてしまったんだろう。

何を言ったらいいのかわからず、不安で視線が泳ぎ唇が震えた。

幻滅されてしまっただろうか。
やはり『社長の息子』である爽くんに取り入ったと思われてしまったんだろうか。

目の前で大きくため息をつかれ、ビクッと肩が震える。

「バカ佐倉。しっかりしろよ」
「……え?」
「まさかお前、自分が担当降りようなんて考えてないだろうな」

じろりと睨まれて唇を噛む。

だってしょうがないじゃないか。
ラーメン屋の息子じゃないけど、そんな言い訳しか浮かばない。

「向こうの担当が変わったくらいなんだよ。そういうオヤジをメロメロに口説いてなんぼって言ってたのはお前だろ」

……そう。