莉緒が救急搬送されるたびについて来ることを、莉緒の家族がどう思っているかはわからない。

やめろと言われればやめるけれど、そうでなければ、俺の意思で来続けるだろう。

「寒かったでしょう」
 
そして、俺の手にコーヒーのペットボトルを握らせてくれた。

「……ありがとうございます」
 
急激な温度の変化に指先がジンジンし、余計に体の冷たさを感じ身震いした。

キャップを開けて中身を口に含むと、喉元から順番に体の中が温まっていくのがわかる。

「お礼を言うのはこっちの方よ。いつもありがとう。でもそろそろ帰らないと。今日も学校だものね」

「大丈夫、体力には自信あるし」
 
そう言って笑うと、おばさんつられたように笑みを浮かべた。

「で、莉緒は……」

容体はどうなのか気になって仕方ない。

「いつもの発作よ」

「そっか……」