自分が死ぬ時のことがリアルに思えて身震いした。

そう言ってふんっと鼻を鳴らす男は、本当に莉緒の魂を取ろうとしている死神なんだろうか。

目元はよく見えないが、鼻は高く唇は形よく薄い。察するに、美形だと思われる。

「とにかく、倉木莉緒の願いは、面倒なことにお前にしか叶えてやることができないんだ」

「俺しか……?」

「まあ、信じて行動に移すかどうかはお前次第だ」

この男は、悪魔なのか、それとも……。

「……莉緒の願いを叶えてやれば、本当に寿命は延びるのか?」

たとえ悪魔だとしても、莉緒の命を引き合いに出されたら、すがるしかない。
 
「ああそうだ」

心臓移植をしなければ、ハタチまで生きるのは難しいと言われている莉緒。

願いを3つ叶えたところで、その運命が変わるなんて魔法みたいなことがあるのか?

それは、ドナーが現れるということなのだろうか。

考えてみて、首を振る。

「つうか、そんなこと出来るかよ」