「倉木莉緒には、死ぬまでに叶えたいことが3つある。それを叶えてやればいい」

「は? 3つ? 少なすぎるだろ」
 
死ぬまでに叶えたいことなんて、普通3つどころか山ほどあるはずだ。

俺だって余裕である。

それが本当なら、莉緒はどれだけ欲がないんだろう。

「お前みたいに欲深い人間とは違う。ちゃんと期限をわきまえてるからこそ、3つなんだ」
 
心を見透かされたようなことを言われ、ばつが悪い。

「期限内にその間に願いを叶えられたら、このリストから倉木莉緒の名前は消える」

男はどうする?とでもいうように、ひらひらと手帳を掲げて見せる。

心が重くなった。

本当に、莉緒は死ぬまで叶えたいことなんてものを考えているのか?

そんなこと、いつから思ってたんだよ。

「……百歩譲って、アンタが本当に死の神とかいう奴だとして、どうして俺のところに来たんだよ。死神ってのは、死者の魂を黙って取ってくんじゃないのか?」