「何妄想してんのか知らないけどキモいからやめてね」


「き、キモっ?!」


女の子に向かってキモいって!ひどい!
いくらなんでもひどい!!

仮にも私、柊木くんの事…



「先輩?」


ボーッとする私の顔を近くまで来て覗き込む彼



「拒否権なんてないのはわかってるよね?」



うわ、顔近い…
顔綺麗だな
カッコいいな…





じゃないよ!!
冷静さを取り戻して私



とんでもない展開になってるんだから!





はたと正気を取り戻した瞬間、バチッと目が合って柊木くんの目に吸い込まれて行って




「はいすいません行きましょうお願いします」


気付いたら予期もしてない返事をしていた。







うん。もうこれはあれだ。
柊木くんはドSの才能があるんだきっと。
なんとなく拒否したらやばそうな雰囲気を醸し出すのが上手すぎるせいだ。

全ては柊木くんのせい。







っていうか
そんなことよりまって




仮にも好きな男の子の家に行くって
大丈夫なのか、私は

なんか
ドキドキしてきた…




いやいやしっかりして先輩
ただミサンガを作るってだけだよ
れっきとした真面目なお仕事しに行くんだから



私の中の純な思いと不純な思いがせめぎ合ってる中、柊木くんはいとも簡単に私の左手をするっと取ってあろうことか恋人繋ぎしてきた





「はっ?!ちょ、手……ひいら、ぎくん手」


バクバクの心臓のまま、私の心臓を爆発させる種悪の根源柊木くんを見ると

彼は素知らぬ爽やかな表情で私を見て笑った


「なに?顔赤いよ」


私の事見て笑った顔までカッコいいと思うんだから、やっぱり私はドMで重症だ。



私のおそらく茹でダコな顔をみては吹き出す彼は、
先輩かわいい、なんてサラッと言ってのける上に耳すら赤くなくて全く気にしてなくて





あぁ、私だけか
私だけがこんなにドキドキしてるのか
ってちょっとだけ切なくなった。