「頼まれごと?なに?」
柊木くんは私の本業がれっきとしたサッカー部マネージャーということを忘れているので(多分)、私に仕事がある事をめちゃくちゃ不思議な顔して聞いてくる。
「あの、谷口にミサンガ作ってって」
"谷口"というワードで彼の眉毛が一瞬ピクッとした気がした
「へぇ、部長様に頼まれたの?家庭科の成績10段階中4でだめだめぶきっちょな女の子にミサンガ作るの頼むなんて部長は本当に見る目ないね」
おいお前失礼も大概にしろ、なんと言えたならば今私は多分こうして彼の専属マネージャーは担当していない。そしてなぜお前も家庭科の成績を知っている、柊木くんよ。
「あーーはは、、そうだよね、なんで私なんかに」
私の声が思ったより力なさげで
心なしか柊木くんが傷ついたような顔をした
いや傷ついたのは確実に私の方なんだけど。
「、しょうがないなぁ」
ん?
柊木くんは手のかかる先輩だよほんとに、と呟きやれやれした表情で私を見る
なに?なにが手のかかるって?
「しょうがないから、俺が手伝ってあげる」
「あっ、え?手伝うって何を?」
「ミサンガ作りに決まってるでしょ、先輩1人じゃ大変だろうから。特別に俺が手伝ってあげる」
とってつけたような満面の笑顔
拒否したらどんな仕打ちが待っているのか想像するだけで背筋凍るような顔
「あー、そっかあはは、それは嬉しいなぁ…ありがとうございま「じゃあミサンガ買いに行こ、で俺の家来て作ろ」
「あっうん、そうだね!そうしよ…って待って、は???」
「俺の家????って今言わなかった?」
私が動揺してる中、彼は表情ひとつ変えずに淡々としてる。
「言ったよ」
言ったよ、じゃねぇよ
何でそんなさらっとした顔でとんでもない誘い文句言ってるの
さては女の子を誘うの慣れてるタチだな
こんな感じでいつも女の子をお家に呼んでいるのか…
もしかして相当なチャラ男なのでは柊木くん
私にはあんまり知りたくなかった一面だよ