しばらく歩いていると、いつもの場所に到着する。
タマシイ気のない、静かで落ち着く森の中。その中の少し広くなっている、倒れた丸太が椅子がわりのお気に入りの場所。それがいつものこの場所だ。
丸太に座って待っていると、視界に動くものが見えて顔を上げる。
私と同じような格好をしていて、背も同じくらいの女の子。"あの子"だ。
丸太から立ち上がって、手を振る。自分でも頰が緩んでいるのがわかる。
彼女はこちらに気がつくと、走りながら手を振ってくれた。
手の届くところまで走ってくると、どちらからともなく両手をにぎり合う。
すると彼女が微笑んだので、私も笑顔を返した。
二人で丸太に座り、彼女から会話をし始める。

「会いたかった!」
「昨日もあったけどね〜」
「それを言ったら、毎日会ってるよ!」

そう言われて、二人で笑う。
こんな他愛もない話でも、幸せに感じるのは、私が狭い世界しか知らないからかもしれないが、今はそれだけで十分すぎるほど嬉しいし、楽しかった。