「せっかくだから採点で勝負しない?」

 それぞれ一曲ずつ歌ったところで菊池さんが提案した。

「選曲は自由。とにかく点数の一番高い人が勝ち。それで一番点数の低い人に一つ命令できるの」
「命令って何でもいいのか」

 本田くんが乗ってきた。

 こういうときに率先して参加しようとするところは高校生のときと変わってない。何だか懐かしいとともに安心する。

「無茶なことでなければね」

 菊池さんがいやらしい笑いを浮かべた。ほんのりと頬が赤く染まっているのはアルコールのせいばかりではないだろう。

「姫はあれだな、この勝負にかこつけて本田に何かするつもりだろ」

 加藤くんの指摘に菊池さんがうっと呻いた。

 図星ですか。