クラスの人気者で姫と呼ばれていた菊池さんが流行りのラブソングを可愛さ全開で歌っている。

 私はソファーに座りながらまるでアイドルのプチライブを見せられているような気分になっていた。

 隣に座る加藤くんがワンテンポ遅れた合いの手を入れている。

 居酒屋ではあまり楽しそうにしていなかった彼だが今は楽しそうだった。カラオケボックスという特殊な空間がそうさせているのかもしれない。

 加藤くんの奥に本田くんがいた。

 身体をリズミカルに揺らして菊池さんの歌を聴く本田くんはやっぱり格好良い。思わず見とれてしまいそうになり私は視線を逸らした。

 居酒屋でのことを思い出し、かあっと耳まで熱くなる。