うっ、まさか気づかれていたとは。
もっと飲みたいのは山々だけど、風花の現状を考えたら、そんなにがぶがぶ飲めない。
それに、いくら風花の血でも、千冬の時みたいに無理に飲むと戻しそうになってしまう。
「なら飲んでよ。もしかして具合悪い? それともマズくて飲みたくないとか?」
「違うよ! 最近弁当の量を多くしてもらってて、あまりお腹が空いてないんだ。だから気にしないで」
「ふーん……私の血よりおばあちゃんの味が好きなんだ」
「えっ、いや! そういうわけじゃなくて!」
拗ねたような寂しい声が聞こえて、慌てて否定する。
あぁもう、なにやってるんだ俺は。追い打ちをかけてどうする。
きっと今、ドアの前で悲しい顔してるよな。ごめんな。
「じゃ、また明日来るね」
「うん。いつもごめんね。またね」
手を振り合い、ドアが閉まったのを確認して階段を下りた。
また会えるようになったら飲む量も増えるかな。
一緒に頑張ってきたんだし、悪化はさせたくない。
風花が回復するまで待とう。