放課後。1度帰宅し、少し時間を置いて風花の家へ。
おばさんに挨拶をして2階に上がり、彼女の部屋のドアをノックした。
「風花、来たよ」
「はーい」
勉強していたのか、バサバサとプリントを片づける音が聞こえた。
返事はいつも通りなんだよな。
一応、ドア越しで会話ができてるからいいんだけど、できれば顔を見て話したい。
「……どうぞ」
「ん、いただきます」
ドアが少しだけ開いて、その間から恐る恐る腕が出てきた。
震えている手を両手でそっと包み込んで口元に運び、手の甲に噛みつく。
「んっ……」
……まだ少し怖いのかな。脈が速くなってる。
「ごちそうさま。ありがとう」
「もう、終わり……?」
急いで終わらせたら予想外の反応がきて、思わず「えっ」と小さく声を漏らした。
「潤くん、最近飲む量減ってきてるでしょ。遠慮してるの?」
「いや、そういうわけじゃ……」