しばらく料理を食べていると、電子レンジの音が鳴り、透瑠くんは急いで席を立ってキッチンへ。

ほんのり甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


昼食を作っている間に、焼きドーナツも一緒に作っておいたのだ。



「描いたら交換しましょう!」

「オッケー!」



ホワイトデーってことで、今日は特別にデコレーションすることに。


何描こうかな。
うーん、とりあえず名前でも書くか。


……あ、出しすぎちゃった。これは自分で食べよう。



「あ! つまみ食いしたな!」

「……!」



げ、バレた。



「もう! 交換しようって言ったのに!」

「…………」



ムクッと頬を膨らませる透瑠くん。

一口で食べたもんだから口を開くことができず、モグモグしながら、ごめんねとジェスチャーした。

そんなに怒らなくてもいいじゃないか……。



「出しすぎちゃったんだよ。せっかく甘さ控えめに作ったのに、意味ないでしょ?」

「それなら先に言ってよ。食べるかどうかは自分で決めるからさぁ」



前言撤回。

もはや透瑠くんは立派な主夫よりも、口うるさいオカンになりそう。