皮を剥き終わり、いよいよ玉ねぎに包丁を入れることに。


どう切ればいいんだろう……。
とりあえず、テレビで観たのを思い出しながら切ってみよう。


力ずくで半分に切り、数ヶ所に切り込みを入れた。


ここからが問題だ……横に包丁を入れるんだよね。

うわ、全然入らない。どうしよう。



「清花さんって完璧なイメージがあったけど、意外と不器用なんですね」



隣を見ると、透瑠くんが嬉しそうに笑っていた。

なんでそんなに嬉しそうなの。
まさか、バカにされてる……⁉



「切り方教えようか」

「えっ、ちょっ」



再び玉ねぎを切ろうとすると、包丁を持つ手に透瑠くんの手が重なった。



「こうやって横に入れて……」



耳に彼の低い声が響く。

教えてくれるのはありがたいけど、なんで後ろから……? これじゃ集中できないよ。



「話聞いてます?」

「あ、あとは自分でやるから! ありがとう!」



一通り教えてもらったので、一旦離れるよう言い放った。

悔しいけど、切り方が上手いからかあまり目が痛くない。

今、チラリと見えた横顔が少しニヤついていたような。
もしかして楽しんでる……?