「清花さんって、俺の部屋入るの初めてでしたっけ?」

「ううん、2回目。交換ノート取り返そうとした時に、無理矢理入ったのが初めてだったかな」

「あぁ……思い出しました」



階段を上がりながら思い出す。

懐かしい。部屋中ぐるぐる回ってたなぁー。



「あの時は本当ごめんね。今振り返ったらやり過ぎだった」

「いえ……俺が勝手に取ったのが悪いんですし」



正直めちゃめちゃ怖かった。

でも、そもそも俺が発端だし、勝手に見ようとしたんだから、そりゃ激怒するに決まってる。



「トラウマになってない?」

「何の?」

「……壁ドン」



ポツリと呟いた清花さんは、優しく俺を壁に移動させた。



「大丈夫? 震えてない?」

「大丈夫ですよ。でも……まだちょっと怖いなぁ」



冗談混じりに口にした途端、急に視界が彼女の顔で埋め尽くされた。

同時に、唇に柔らかい感触が。



「……これで怖くなくなった?」

「……もう1回してくれる?」



もう全然怖くないけど、キスしてくれたのが嬉しかったからおねだりしちゃった。

ありゃ、見抜かれちゃったかな。
眉間にちょっぴりシワが寄ってる。



「……じゃあ目瞑って」

「は~い」