「ねぇ、母さんは……?」
「買い物に行ってるよ。5時半には帰るって言ってた」
小腹を満たしながら、壁掛け時計をチラリ。
あと1時間か……。
久しぶりに2人きりだから、なんかそわそわする。
「そういえば、なんかいつもと雰囲気違いますね」
「あぁ! 今日、証明写真撮りに行ったの。だからいつもよりピシッとした服にしたんだ」
「その格好で行ったんですか……?」
隣に座る彼女の服装を今一度確認する。
ブラウスはわかるけど、その短いスカートで写真撮りに行ったの……?
「いや、ここに来る前に下だけ着替えてきた」
「なんだ良かったぁ」
「もしかして心配した?」
「当たり前ですよ。こんなに綺麗な脚してるんですから」
…………待て、今俺何て言った?
「ありがとう……」
恥ずかしそうにお礼を言われて顔が熱くなり、反射的に顔を逸らした。
いやいや、だってこんな脚出してるの初めて見たし。
そもそも、出迎えられた時からずっと脚にしか目がいかねぇよ。
目のやり場に困り果てた俺は、ブレザーを脱いで、脚を隠すように彼女の膝にかけた。