ニヤニヤしながら発言すると、清花さんは目を丸くしたまま固まった。



「と、透瑠くんってMだったっけ……?」

「いや? MでもSでもないですよ?」



あれ? さっきの発言、Mっぽかった?

別に、いじめてくださいって思ってるわけじゃないんだけど。

あ、それはドMか。


でも清花さんになら、頭わしゃわしゃされてもいいかな……って思ってる。

この考え方がMっぽいのか?



「清花さんはどちらかというとSですよね」

「え~? S~? 私はそうは思わないけど」

「いやいや、実際Sじゃないですか。しかもドエ……」



しまった。
ドSと言いかけた途端、さっきまで笑っていた彼女の顔がピキッとひきつった。



「……透瑠くん、聞こえなかったからもう1回言ってもらえる?」



ひぃぃぃぃ、口は笑ってるけど目が笑ってない!



「しかも……何?」



なんか冷や汗が出てきた。

ただでさえ怒ったら怖いのに、そのままドSなんて言ったら……

ひぃぃ! 考えただけでも恐ろしい!



「アハハ、清花さんはドエライSですね~って…………失礼しました!」



一歩一歩後退りしながら小声で謝り、逃げるように図書室を後にした。