透瑠side



「そういえばさ、そろそろ再会して1年だよね」



5月。ある日の昼休み。
図書室でいつもの窓際の席に座って本を読んでいると、隣に座っている清花さんが口を開いた。


確かに。あの時テスト前だったから……もうあと数日で1年だ。

懐かしい。おんぶされて噂になったなぁ。



「清花さん覚えてますか? 俺、中学の時も清花さんにおんぶされて、助けてもらったことがあるんですよ」

「え、そうだっけ?」

「え⁉ 覚えてないんですか⁉」

「……ごめん。全然記憶にないや」



嘘……。あの時、めちゃめちゃ話したのに。全然覚えてないなんて……。



「いつ?」

「俺が中1の頃です。まだ姉ちゃんがいた頃だったので……夏ぐらいかな?」

「夏……」



頑張って思い出す清花さんだったが、やっぱり思い出せなかったのか、再び謝ってきた。


もしかしたら、本当に忘れちゃってるのかも。

姉ちゃんが死んでから色々あったからな。
ショックで一部の記憶がなくなったのもあり得る。



「何があったのか教えてよ」

「いいですよ! えーっと……」