透瑠くんが部屋を出ていって30分が経過。しかし、いっこうに戻って来る気配がない。

部屋にこもっているのか、物音ひとつも聞こえない。


……からかいすぎたかな。素直に言えば良かった。



ソファーに寝転がってスマホを開くと、菫から動画が届いていた。

動画? なんで急に? 何か撮ってたっけ?



「これ……」



首を傾げつつ動画を再生する。

映っていたのは、私と透瑠くん。
去年のクリスマスパーティーで、私が彼に服の感想を聞いている場面だった。

小さいけど、クスクス笑う声が聞こえる。


この声は、隼と怜也くんだな?
もう菫ったら……撮ってたなんて気づかなかった。



そのまま観ていると、透瑠くんが鼻血を出した。

咄嗟に口を押さえる。

ダメだ……笑ったら気づかれちゃう。



「……保存しとこ」



笑い声を抑えながら動画を鑑賞し、保存。

菫に返信してスマホを閉じた。



「……昼寝するか」



まだ帰ってくる気配がなさそうなので、ちょっと仮眠して待つことに。

このままだと思い出し笑いしそうだから、眠って頭をクリアにしよう。