背中に手を回され、そっと抱き寄せられた。

温かい……。

じんわりと体温が伝わって、全身の力が抜けていく。


心地良くて肩に顎を乗せていると、背中に回っていた手が頭に触れた。



「今日は災難でしたね。ゲームに負けて、付き合ってるのも、不器用なのもバレて……」



まるで、子どもをあやすかのように、私の頭をポンポンし始めた透瑠くん。

その言葉で、上がっていた体温がスーッと引いていく。



「……慰めてるの?」

「さっきうなだれてたから」



……交際に関しては、そっちが浮かれすぎてたからでしょ。

そうツッコみたくなったけど、雰囲気を壊しそうだったので黙っておいた。



「そういや、私服でニット着てるの初めて見たかも」

「あぁ、いつもパーカーが多いから、たまには違うの着てみようと思って、この前買ったの。どう? 似合う?」

「うん。可愛い」



体を離して感想を求めると、ストレートな感想が飛んできた。



「ありがとう……」

「ハハッ、ニヤけすぎ」



クスクス笑う透瑠くん。

そっちもデレデレしてんじゃん。顔真っ赤だし。

私も多分、同じ顔色してると思うけど。


顔を合わせるのが照れ臭くなってそっぽを向いた。
のだけど、そっと頬を包み込まれ、やや強制的に正面に向けられた。