──20分後。



「ありがとうございました」

「…………」



コントローラーを持ったままうなだれた。

最後の最後で勝てると思ったが、ゴール直前で攻撃され、僅差で負けてしまった。


あのままいってれば1位だったのに~!

付き合ってるのバレたし、サイコロの出は悪いし。さっきもアイテム全然取れなかったし……今日は厄日なの?



「それでお願いは? 何か奢ってほしいの?
それとも、キスしたいとか?」



冗談混じりに尋ねると、透瑠くんは顔を赤くして黙りこんだ。



「え、まさか図星?」

「……初めて会った人とイチャつく夢を見るくらいのマセガキですから」



顔を赤くしたまま言い放った透瑠くん。

前は拗ねてたのに……とうとう開き直ったな⁉
恥ずかしいけど……仕方ない、約束だ。



「いいよ。しよっか」

「……あの、もうちょっと雰囲気作りませんか?」

「え? これじゃダメなの?」



腹をくくり、顔を向けて目を瞑ったけど、あっさりしすぎて苦笑いされてしまった。

ロマンティックな雰囲気ゼロだったようだ。



「今日は誰もいないし、せっかくならもうちょっと……」