別に、上原くんなら近くてもいいのに。


そう思ってたから、今日は少しだけ距離を詰めて座ってみる。


上原くんは、気づかずに黙々とお弁当を食べ続けてる。


私も横でお弁当を広げて、杉本くんとなのちゃんの言い合いを聞く。


「うまそ。1個もーらい」


「あっ!楽しみにしてたのに!」


「ははっ。うま!」


これで、片想いなんて、ありえないよ。


そう思うのに、なのちゃんはきっと友達だからって思ってる。


「もうっ」


「しょーがねーな。これ、お返し」


差し出されたお弁当のおかずをなのちゃんは顔を赤らめながら、迷わずに食べる。


「ありがと」


これだけ仲がいいのに、片想いなんて。


でも、私が口を出していいことじゃない気がする。


いつか、2人が手を繋いで並んで歩いてたらいいな、なんて思う。