その手は、私に向けられた。


迷わずにその手を取ると、指を絡めて握る。


「冷たくない?」


「あったかい、よ」


そう言いながら、上原くんの手を握る自分の手に力を入れる。


「そっか」


私の手もぎゅっと握られた感覚があって、頰が緩む。


その手は、離されることなく遊園地に到着した。


楽しそうな音楽とジェットコースターに乗ってる人の歓声、子供の楽しそうな笑い声に包まれていた。


「ねえ、あれ乗ろ」


上原くんが指したのは、大きなジェットコースター。


「あ、苦手?」


「ううん、乗ろう?」


そう言うと、上原くんは笑った。


楽しそうな、無邪気な子供みたいな笑顔。


乗るって言って、よかったな。


上原くんの笑顔を思い出して、そう思う。


ジェットコースターに乗ってみると、楽しかった。