思えば出会った時から俺は何を思っているかわかっていたような気がする。

それまではほかの誰かに興味をしっかりと持っていなかったのかもしれない。

気づかないうちに誰かと関わるときに距離をとってしまっていたのかもしれない。


でも、妻とは違った。

惹きつけられるという言葉の通りに、視線で常にその姿を追ってしまい、妻が何を感じて、何を思っているか、気になって仕方がなかった。

運命の人とは妻以外誰でもない。



妻が何度も俺に背を向けようとしても、俺はあきらめられなかったのは、妻を失ったら自分は変われないと気づいていたからだ。ほかの誰のことも愛せないと悟っていたからだ。

がむしゃらにでもわがままにでも、妻が欲しかった。