そう思っていたんだけど……
「ふーゆちゃん!」
この声……
見てみると、佐野先輩がいた。
何でいるの……
「無視すればいいの。あんな先輩のことは」
紗奈ちゃんの返事は冷たい。
でも、このまま無視するわけにもいかない気がするけど……
「うわ、佐野先輩だ!」
「かっこいいよね!」
「さっき一ノ瀬さん呼んでたよね?もしかして、今の彼女なのかな?」
学年一のモテ男なだけあって目立つ。
なんか、いろいろ言われてるけど……
それと、彼女ではないです。
心の中でそう返すと
「ふゆちゃん、無視はないんじゃないかな?」
そう言われてしまって、しょうがなく佐野先輩のところに行った。
心配だからと紗奈ちゃんも。
「あれ?紗奈ちゃんも来たんだ?」
「何で、私のこと知ってるんですか?」
紗奈ちゃんのすごく冷たい声。
こんな声、初めて聞いたかも。
「あはは、怖いなぁ。紗奈ちゃんも有名なんだよ。ふゆちゃんとはまた違った綺麗系でね」
確かに、紗奈ちゃんは綺麗だ。
だから、とてもモテるけど。
「へぇ、あなたにそう思っていただけるなんて光栄です」