「はぁ!?私の可愛いふゆにキスした!?何、考えてるの!佐野先輩は!!」
「ちょっ、紗奈ちゃん声大きい!」
誰に聞かれてるか分からないのに……
「それに、キスされたといっても唇ギリギリのところだよ」
「それでも許せないわ。それにしても、檜山君と中村さんのキスシーンを見た後にそんなことされるなんて、ダブルでショックだったでしょ?」
「うん。だから、眠れなかったんだろうし」
「可哀想なふゆ」
よしよしと撫ででくれた。
「ありがとう」
「ううん。昨日の夜、電話すればよかったわね」
「いいよ、別に。紗奈ちゃんに迷惑かけたくないし」
「迷惑なんかじゃないから!もう、ふゆは遠慮しすぎなのよ」
あはは、また言われちゃった。
でも、迷惑かけたくなかったのは本当だから。
余計な心配もかけたくないし……
そう思ってるけど、もうすでに心配はかけちゃったよね。
「佐野先輩とはもう関わることないだろうし大丈夫だよね」
「それは、分からない。もしかしたら、ふゆのこと気に入っちゃったかもしれないから。ふゆ、可愛いし」
「うーん、どうだろうね」
関わりたくない。
とりあえず、関わらなくていいことを願うよ。