本当は存在自体が悔しくてたまらないけど、だからこそ知るべきだよね。



「作業しながら話そっか。ちょっと待ってて」


そう言って、姫野先輩は自分が担当の花飾りの材料を持ってきて、わたしの隣に座る。


わたしは看板を塗りながら、姫野先輩は花飾りを作りながら話を始める。




「本当に胡桃ちゃんは小さくてかわいくて、初めて見たときから私の憧れなの。後輩に憧れっておかしく思われちゃうかもしれないけど」



語りだす姫野先輩はなんだか切なげに見える。



「どうしてですか?姫野先輩はスタイルよくて美人じゃないですか」



って、なんでライバルを褒めなきゃいけないんだ。

そう思ったけど、この考えから改めないとこの人には勝てない。


悔しいけどスタイルよくて美人なのは本当のことだし。



目を合わせて話すなんてできなくて、看板の色塗りに意識を集中させる。