悪意なんてなくて、むしろわたしのほうがうがった見方をしているんじゃないかって思わされる。


嫌だな。

なんか、わたしが心狭いって思い知らされるみたいで。




「廉は幼なじみだから、長い時間一緒にいると特別ですよ」



にこっと姫野先輩に笑顔を向ける。



「姫野先輩も素敵な方なんで、きっと特別に思ってる人はたくさんいます」

「胡桃ちゃん……優しいね。ありがとう。ちょっとお話、聞いてくれる?」

「はい、いいですよ」



ここで「嫌だ」なんて言えば負けた気になりそうだから、快くいい返事をする。

この人のいいところとか、盗めるところは盗むべきなんだ。


わたしはどんな手をつかっても、好きな人に好きになってもらいたい。


そのためなら、好きな人が気になっている相手と仲良く話していいところを見つけるくらいなんてことない。