「なに?」
「うるさい」
「はいはい、ごめんなさい」
「周りの目をもっと気にしろ」
なんで廉にそんなこと言われなきゃいけないのさ。
そう思うけど反論したらめんどくさそうだから、なにも言わない。
しかも周りの目って言うなら、いまの廉のほうが気にしなよ。
わたしのお腹に回ってきた手を離そうと手首をつかむ。
でも、力を込められて離してくれない。
「廉」
教室だから、イラ立ちをおさえてできるだけ優しく名前を呼ぶ。
けど、まだ廉はむすっとした表情をして、わたしではなく違うところを見ていた。
廉の視線の先をたどっていくと、男子数人がいる。
目が合ったから微笑むと、微笑み返してくれた。
かと思えばすぐに焦ったように全員に顔を逸らされてしまう。
あれ……?
わたし、間違えたかな?