まっすぐに見つめる胡桃は強い視線で、すべてを見透かしているよう。
俺だけを映す瞳。
重症だな、わかってたけど。
付き合ってから、まじで胡桃がかわいい。
「薬飲んで早く寝なよ。わたし帰るから」
「まだ帰んなって。大丈夫だし、ゲームする?」
「休みなよ。なにか買ってこようか」
「大丈夫だから」
「じゃあ、キスしていい?」
「は?」
「元々はわたしの熱なんだし、返してもらうよ」
ギシッとベッドが沈む。
胡桃がベッドに片足だけ上がって体重をかけ、俺の頬に手を添えた。
「胡桃が、できんの?」
「試してみよっか」
まだキスは俺からしかしたことがない。
俺にされるだけで照れてる胡桃が、自分からなんて……。
「返してもらうから」
伏し目がちに顔を少し傾ける。
すげぇかわいい。
理性、とびそう。
胡桃からキスしてくれるなんて最高だろ。
けど……。
「……わりぃ。俺の負け」
胡桃の口を手で押さえて拒否する。
ずるいわ。
まじで胡桃ずるい。