「ほら、早く」


急かす胡桃は照れてる。

その顔を見て、少しだけ余裕を取り戻す。



「熱くねぇ?」

「猫舌。少し時間おいてきたから」


そこは熱々をフーフーして冷ますんじゃねぇの?

冷ましてから持ってくるって……最高だよ、まじで。


俺のことをわかってくれている胡桃はかわいい。


口を開けると、おそるおそると言った感じで胡桃が食べさせてくれた。

ぎこちない。かわいい。



「、っ」

「どうかな?」

「……まずい」

「え……」

「味見した?」

「廉にいちばんに食べてほしいから」


おい……それでも普通は味見するだろ。

胡桃が料理下手なのはもしかしてそういうことなのかもしれない。


だけど俺にいちばんにって真剣な顔で言える胡桃はかわいいと思う。



「残していいよ」

「ううん、食べさせて」

「でも……」

「まずいけど、うまいよ」

「またそれ?」


たしかに味はめちゃくちゃだけど、胡桃の気持ちが入ってる。

一生懸命につくってくれたのがわかる。


だから、うまいんだよ。

味はめちゃくちゃでも、世界でいちばんうまい。