恥ずかしいのか、口を尖らせて視線を逸らす廉。

廉ってそうなんだ。


いままで気づかなかった。



「拗ねてたんだね」

「……うるせぇ」

「わたしのこと大好きなんだね」

「調子のんな」

「うぇっ」


鼻をつままれ変な声が出た。

かわいくない。

最悪だ。


そう思うわたしとは裏腹に、廉は笑みをこぼす。

そんな顔を見たら、わたしのかわいくない反応も、きっと変な顔になっていることもどうでもよくなる。


廉が笑っていれば、なんでもいい。

昔から、廉の笑顔はきらいじゃなかった。



「これからは、ぜんぶ廉のためにしてあげてもいいよ」

「は?当然だろ。もう俺のだし」



再び両手で頬を包み込むようにしてわたしに触れる。

顔は動かせなくて、強制的に廉から視線を逸らさせないようにされる。


そんなことしなくても、逸らさないのに。



「話はあとでいい?」

「まだ聞きたい。ずっといじわるだったから、ほんとか疑う」

「は?ふざけてんの?わかってるくせに」