わたしの耳元で悪態をつくけど、その声は優しい。
あほじゃないし。
廉はほんといじわる言う。
きゅっとシャツを両手で握りしめる。
後頭部に回った手が緩むから顔を上げれば、廉と視線が絡み合う。
目は口程に物を言うって言うけれど、廉の気持ち、伝わってるよ。
「胡桃」
わたしの名前を呼ぶとき、いつも甘さを含んでいるね。
これも気のせいじゃないって思ってるよ。
「好きだ」
初めて聞いた、廉のまっすぐで純粋で素直な言葉。
ほら、瞳揺れちゃって。
やっぱり泣きそうじゃん。
そんな廉が、たまらなく愛おしく感じたんだ。
「胡桃は昔からずっと、俺のいちばんだよ」
「うん」
「これからも胡桃だけ」
重なる気持ちの幸福感を初めて知る。
やっぱり、心臓おかしい。
「もう、幼なじみだけじゃないね」
「はっきり言えよ」
「それは、廉から言ってほしい」